USビザを取得してから渡米までは、約2か月の期間があった。
その間は、とにかく渡米の準備に追われていた。
役所や税務署での煩わしい手続き。
社内での渡米に関する各種申請や調整。
毎日何かしらの手続きを進めていたが、
どれも一筋縄ではいかず、常に
「抜け漏れがありそうだ」
という不安がつきまとっていた。
このころ、正直に言うと、かなり人間不信になっていた。
役所や税務署の手続きはとにかく煩雑で、
こちらが入念に調べて職員に申し出なければ、
大きな損をしてしまいそうな仕組みに感じられた。
社内での手続きも、感覚としては同じだった。
「なんでこんなにも、みんな他人行儀なんだろう」
「社会って、こんなに冷たくて、思いやりがないものなのか」
そんなことを考えては、
勝手に悲しくなっていた。
さらに、自分が今の部署を離れ、
アメリカ駐在員として選ばれたことについても、
表向きは良い言葉をかけられていたものの、
実は成績が低いから外に出されるのではないか、
そんなネガティブな考えが、
次々と頭に浮かんできた。
この時期は、本当に
「人の行動」や
「他人が自分をどう見ているか」
そういったものに、過剰に反応していたと思う。
今振り返ると、これは自分の昔からの悪い癖だったと思う。
いわゆる「自意識過剰」というやつだ。
役所や税務署をはじめ、
日本側で関わる人たちに対して、
渡米後もしばらくの間、
強い不信の念を抱き続けていた。
ただ、アメリカでの生活や仕事を経験する中で、
この感覚は少しずつ薄れていった。
諦めがついた、という表現が近いかもしれないし、
あるいは、自分の価値観が
別の方向に移っていった、とも言える。
「他人がどうか」よりも、
「自分にとって何を優先すべきか」
「自分が、どんな感情を大事にしたいのか」
そういったことを、
考えるようになったのだと思う。
これから、
アメリカでの生活を思い出しながら、
考えが変わっていったきっかけや理由を掘り下げ、
この感覚を、もう少し強固なものにしていきたい。